<相 続>

隠し子の発覚・遠隔地の案件(司法・不動産・税務)

 近年、長引く不況の影響があってか、相続に関するトラブルが非常に目立ちます。

 そして、えてして相続紛争は、感情が絡むことから、紛争類型としては極めて深刻かつ解決に長期間を要するいわゆる難件の部類に属するものです。「相続」ならぬ「争族」といわれるゆえんです。

 このような「争族」を未然に防止するため、私がいつも勧めるのは遺言を書くことです。ただし、遺言があってもそれは万能ではありません。法律は、遺留分という権利(遺言の有無にかかわらず遺産の一定限度を必ずもらうことができる権利)を相続人に保障しているのです。

 相続紛争で特徴的なのは、各相続人が遠隔地にいるケースが多く、そのために意思疎通がうまくいかず、お互いに疑心暗鬼になることが多くあります。さらに隠し子がいた場合は、非常に厄介です。

 私が扱ったケースでは、被相続人は横浜で死亡して長男に全遺産を相続させる旨の遺言を残していましたが、広島県三原市に隠し子がいることが分かり、その隠し子が遺留分を請求してきました。遺産に不動産があったのでその財産評価に手間取り、なおかつ相続税の申告でも税務署とトラブルになり、簡単にはいかなかったものの、不動産の専門家や税理士の協力を得てそれらの問題を根気強く一つ一つクリアした上で、その人の所を訪問しました。

 最初のうちは、自分は親から捨てられたという不満を滔々と述べるだけでなかなか私の話に耳を傾けようとしませんでしたが、私が膝を交えてじっくりと話をしたところ、これまで私が誠実に諸問題に対応してきたことを理解してくれたため、結果的に無事に解決することができました。

 この件は,各専門家が協力しなければ決して解決できない案件であり,今後ますますこのような案件が増加していくものと思われます。

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